岡山大学
大学院ヘルスシステム統合科学研究科
先端医用電子工学研究室

委員名:紀和 利彦

研究概要

先端医用工学研究室では,私たちが開発した「高温超伝導SQUIDシステム」,「テラヘルツ波システム」,「センサデバイス」,「磁気計測システム」などの様々な先端計測技術を核として,社会で必要とされている「体の健康」,「エネルギーの健康」,「インフラの健康」を守るデバイス・システムを開発しています.
高温超伝導SQUIDシステムでは,超常磁性を示す磁気ナノ粒子を利用した生体関連物質の検出,応用を行なっています.

1高温超伝導SQUIDを用いた高感度磁気免疫法

磁気ナノ粒子(MNP) を抗体に結合させた上で,液中で抗原と反応させた時に起こるMNP の磁気特性の変化を,⾼温超伝導(HTS-) SQUIDを⽤いて検出することで,液中の抗原量を⾼感度計測するシステムの開発を⾏っています。このような抗原抗体反応検出技術は,⼀般にウィルスなどの病原の検出,⽣体関連物質の検出など医療研究・診断に⽤いることが可能です。MNP を⽤いた検出⽅は,従来の検出法である蛍光標識を⽤いた検出法と⽐較して,不透明溶液中の検査が可能,未反応抗体の洗浄処理が不要など医療応⽤を⾏う上で⼤きな優位性があり, 期待されています。

HTS-SQUIDを用いた磁気免疫装置
HTS-SQUIDを用いた磁気免疫装置

2電池電流可視化システム

HTS-SQUIDを用いた太陽電池電流可視化装置
HTS-SQUIDを用いた太陽電池電流可視化装置

世の中には二次電池,太陽電池,燃料電池など様々な電池があります。 電池の特性を評価するには,電池から発生する電圧や電流を測定することが一般的ですが, 電流がどのような経路を流れているかなど,電流の分布を知ることも重要です。 そこで我々は,高感度なSQUID磁気センサを用いて電流が発生する磁場を計測し,電池内部や溶液内の電流分布を評価するシステムの開発を開発しました。 これまでに,太陽電池内部の電流が作る磁場や電解質中のイオン輸送によって発生する磁場の計測に成功しています。さらに,この手法を応用して電気化学インピーダンスを局所領域で評価する方法の開発にも取り組んでいます。